【4月26日/競技:エタップ4:イハンダール】
暗闇の激走、これぞまさに「希望の轍」
昨夜、ちょっとしたアクシデントがあった。砂丘ジャンプの時に強打した左腕の痛みがピークに達し、胸より上にあがらなくなってしまった。ドクターが入念にチェックしてくれたが、レントゲンが無いので骨折してないとは言い切れない、という。「明日はドライビングをしない方がいい」そう言われて私は抵抗した。腕の1本や2本、折れたっていい。私は砂漠を走るために来たのだ。ドクターはそれ以上なにも言わず、痛みどめ薬を出してくれた。
この日は、CP間の走行距離が今まででいちばん長かった。
一瞬のミスでパンクしてしまいそうな岩漠や、砂のように見えても実は底なし沼が隠れているという、ウエッド(水なし川)といった危険な路面を30km以上も走り、CP1を通過した。その後だんだんと岩山に入り、タイヤ1本分でもラインをはずれれば転落しそうな急斜面に挑みCP2を目指すが、地図上の山と実際の山を読み違え、数時間探しまわる。夕方4時、ようやくCP2を通過したものの、野営地ははるか100km以上彼方にあることに気づき、不安がよぎる。暗闇の中、ヘッドライトに浮かぶ誰かが残した轍が、野営地へ続くものであることだけを祈り、必死に戻ったのであった。
右上:野口さんと知恵をしぼって用意した荷物用コンテナだったが、走行時の振動と砂丘ジャンプによって無惨にも破壊された。やはり木やアルミなど強靭なものが必要だったようだ。
右下:フランスのファッション界で活躍する、モデルのキャロル。こんなに美しい女性だって、ガゼルになったらタイヤの空気圧チェックをする。このラリーに魅せられ、もう3回目の出場なんだとか。
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